雇用不安や所得減少、世帯数を大幅に上回る住宅ストックの現状などを考えれば、かつてのような“100万戸時代”に戻ることはないと考えています。
これからの時代、既存ストックを賢く活用する発想が生活者にも企業にも求められます。
この動きは、一過性のブームではない広がりを持つと見ています。
例えば、マンションの場合は、大まかに言えば「躯体」と呼ばれるコンクリートや鉄でできた外枠の部分と、「インフィル」と呼ぶ内装部分の2つで構成されています。
欧米の場合は、これらは別々のものとして分けて考えます。
それぞれ使う素材が違うため、耐用年数が全く異なるからです。
躯体のコンクリートや鉄筋は、欧米では200~300年も持つという認識ですから、内装部分だけを定期的にメンテナンスさえすれば、住み続けられるという考えが定着しています。
トルコのカッパドキアなどでは、大昔の洞窟に今も人が住んでいます。
中のインフィル部分を定期的に改装して、いつまでも住みやすい居住空間を維持しているわけです。

ところが、日本人はこうした分け方を、これまでほとんどしてきませんでした。
躯体と内装をセットで考えてきました。
よって、内装がダメになると、躯体までダメだと思ってしまいます。

しかし、ここ数年、中古マンションブーム、そしてリノベーションブームによって、ようやく欧米のような考え方が広がってきたのではないでしょうか。
不動産としての価値、機能、デザインはもちろんのこと、そこに住む人々の気持ち、その不動産を持つ人の気持ち。
これらすべてを一新する、まさに社会再生事業であるという理念のもと、その不動産がもつ価値を最大限に引き出し、「 住む幸せと所有する幸せ 」を追求していくことこそが我々の使命であると考えています。

                                          代表取締役 竹内 清